私は新卒で入社した会社をたったの半年でうつ病と診断され、その後休職期間を経て転職、退職しました。
そんな私が休職期間中に知った言葉がHSPです。
休職していたときはみんなが働いている平日の昼間に一人で部屋でうつ病と診断された自分を受け入れられず落ち込んでばかりでした。
ADHDを疑っていたこともありましたが、診断は受けず。どうにもこうにも何かが違います。
私がHSPという言葉を知ったとき、内容がまるで自分に当てはまっていて衝撃を受けました。
HSPは誰だってそんな側面を持っている!と言われがちですが、私はHSPなんだと自分を認められるきっかけになりました。
それだけで十分だと思います。
そんなHSPの私がどうしてうつ病になってしまったのか。
業務において何が苦手だったのかを振り返ります。
少しのことが気になって集中できない
仕事中は人の言った些細な言葉やちょっとした物音など、ほんの少しのことが気になってなかなか集中できませんでした。
「これぐらいどっちでもいいよ、わざわざ相談しないでいいから」「普通に、適当でいいから」と言われることがとても苦手で、新しいことは迷ってばかりでなかなか手を付けられませんでした。
これがプライベートならば簡単に自分の考えを言えるのに。
仕事のことになると大きな責任が生じるため普段の生活の何百倍もの緊張状態でした。
仕事の優先順位をつけられない
HSPは優先順位をつけるのが苦手と言われています。
私も仕事において優先順位をつけることが苦手でした。
お客さんに見せるものなのだから、資料1つとってもしっかり取り組みたいと考えていました。
そう思うことは悪くはないことですが、限られた業務時間の中では自分の負担を増やすだけ。
どんどん山積みになるタスク。
明日のことをまず終わらせたいのに、それを終わらせるには多くの情報が必要。
何からすれば良いのかが分からなくなり何にも手をつけられなくなる。
「肩の力を抜け」「とりあえず深呼吸」などとインターネットにはよく書かれていますが、目を光らせる完璧主義で厳しい上司のもと、それはとても難しかったです。
上司に質問できない
上司や先輩に質問をすることや確認を依頼することがとても苦手でした。
「これぐらいで聞くなんて‥」「もっと完成度高められるかな」「時間かかりすぎだよね‥」など質問以前に相手にどう思われてしまうかな?がたくさん浮かんでしまい、なかなか話しかけることができませんでした。
時間ギリッギリのデッドラインに立ってやっと話しかけるようでは時間がなくなって当然です。
ますます上司や先輩との関係を悪くしていく悪循環でした。
考えすぎて手が止まる
上司に質問ができない話も同様ですが、考えすぎて手が止まることもとにかく多かったです。
本当にこれいいのかな?・もっとよりよくできるのではないか。
前年度の例を参考にしよう。昨年踏襲じゃ怒られるかな?私の意見はどれぐらい反映すれば良いのだろう‥。でも突拍子もないことをやって責められたくないな‥。
そもそも考える方向性はあっている?これが一番正しいやり方?
つい、完璧なんてないのにもかかわらずベストを探してしまうこの問いに終わりはありませんでした。
余計なこと心が引っかかり疲れる
HSPは気がつきすぎる故気を配れると言いますが、私は余計なことにも気がついてしまい思い込んでしまうタイプでした。
気づくだけならまだしも、1つのことに対してずっとウジウジと考えてしまうタイプでもありました。
営業という仕事は人にお願いをしたり気まずいアポイントなどにも進んで足を運び、営業活動をしなければなりません。
それらは想像以上にHSPにとって辛いことだと営業を経験してわかりました。
クライアントに電話をかけ続けるのが辛すぎる
営業という仕事上、テレアポをしなければいけませんでした。
話を聞いてくれる人もいますが、基本的にはテレアポは断られることが仕事です。
「今忙しいんで。」や「担当者いません。」と冷たくあしらわれることは当たり前ですが、「もう掛けてこないでください。」「しつこいんでもう辞めて!」などとキツく言われることもありました。
しつこい・辞めてなどと言われているのは私ではなく会社なのに。
わかってはいるもののどうしても自分が言われているように聞こえてしんどくなってしまいました。
テレアポが辛いと言われるのは、どの会社員でも共通だと思いますが、HSPにとってテレアポは苦痛意外の何者でもないと今でも思います。
営業の気まずさに耐えられない
営業をしていると感じる、気まずい時間・冷や汗をかきそうな間が流れる時間がとても苦手でした。
営業という仕事上、多くの訪問先に行くことがありました。
基本的にモノを売ることが営業の仕事なので、提案や交渉をしなければなりません。
特に一番苦手だったのは「クロージング」の過程。
最後に契約を結ぶか結ばないかの大事な決断を尋ねる過程です。
この過程、とても苦手でした。
尋ねることも苦手ですし、判断をしてもらい、断りづらい空気の中相手に断らせる。
相手の表情や声音、顔色を見ることがとても怖かったです。
苦手というよりは恐怖が当てはまるぐらい私が恐れ慄く時間でした。
見られている感覚がどうしても苦手
また、訪問は上司を連れて同行を行う場面も多くありました。
特に苦手だったのは上司に見られていて私がお客さんへ話す場面。
どうしても人に見られているという感覚があるとなぜかぎこちなくなったり、話そうとしたことが話せなくなったりしました。
OJTのような社内での練習は緊張せずにできるのに。
一人だともっと話すことができるのに。
訪問のあと上司と二人になったとき、上司にどんなことを指摘されるのだろう?
指導は成長する上で必要不可欠ですが、誰かに見られていると考えるとどうしても上手に振る舞うことができない自分がいました。
オフィス勤務が苦手
対人関係はもちろんですが、オフィスにずっとい続けることも苦手でした。
というのも、営業会社だったため、大きな怒鳴り声やテレアポの声、電話の着信音、複合機や機械音が絶え間なく聞こえてくる環境でした。
ほとんどの人が営業職なので極論、そもそも社内にいること=仕事をしていないといった環境でした。
人の少ないオフィスとはいえ、一瞬訪れる静まり返ったオフィスも苦手。
後ろに人が通るだけで、人の足音が聞こえるだけでストレスでした。
自分が怒られている感覚
人が怒られているところを見るのが小さい頃から苦手でした。
オフィスの中で人が詰められている場面や電話越しに誰かを叱っている場面。t
詰められている人のくぐもった表情、だんだん小さくなる声。
謝りざるおえないような電話の声。相手の顔さえ見えないのに怒鳴り続ける上司。
そういった光景を見ると、つい自分が言われているような感覚になりました。
自分が怒られているわけではないのに動悸がして席を立ってしまうことが多くありました。
うつ病と診断され休職へ
そんな環境で働いていたので、仕事が終わることはありませんしタスクは増え続けるばかりでした。
休みの日も持って帰ればなんとか終わらせることができるという気持ちで仕事を持ち帰ったり、終電近くまで働くこともざらにありました。
転職したい気持ちは常にありましたが、なかなか行動に移す時間がありません。
転職サイトや転職エージェントの登録が増えていくばかりでした。
転職したい気持ちばかりが募る中、とうとうある日涙が止まらず体調を崩してしまいました。
やっとの思いで電話をかけて繋がった精神病院にうつ病と診断されました。
うつ病など自分には縁がないと思っていたので、この診断にショックをとても受けました。
HSPはうつ病になりやすい?
私が持っていた、多大な責任感や本当にこれでいいのか?と自問自答してしまう性格は、なんでも背負い込みがちで自分を追い込んでいきます。
今はそういった自分の性格を理解できるので、その状況から遠ざかったり、時間の余裕をもったり、工夫をしながら生活できるようになりました。
前職でも時間や余裕があれば、ある程度の納得いくところまで完成させられたのかも‥と思いますが、やはりそれを良しとしない会社だったので長くはいられなかったと思います。
量をこなすことで質になることもとても理解できますが、私にはとても難しいことでした。
このやり方では、自己嫌悪に陥ってしまう。できない自分ばかりを責めてしまう。
この積み重ねで自分を責め続けた結果、うつ病になってしまいました。
ただ、今すぐ環境を変えよう・今すぐ職種を変えようと言われてもなかなか足を踏み出すことは難しいことだと思います。当時の私がそうだったように。
でも、それだけ辛いのなら体や心を崩す前になりふり構わずその場から離れることが一番の得策だと心の底から思います。
会社規定によりますが、休職期間は定められていて半年以上働けなくなった場合は強制退職となります。
会社にとって1人がいなくなっても問題はありませんが、会社は病気になった責任を取ってくれません。
どうか今辛い人は、少しの勇気を振り絞るだけのときに逃げるという選択ができますように。改めてそう思います。