私は新卒で入社した会社で営業として働いていました。
提案営業をする上で「常に新しいことを・他社と違ったアプローチをすること」を要求されることが多かったですが、私はクライアントから聞く「前年と同じでいいですよ。」という言葉がとても好きでした。
しかしながら、「前年と同じで!」を会社に持って帰ると大抵の場合は良い顔をされません。
昨年踏襲=思考停止。
よく言われることですが、私はそう思いません。そんな小話です。
新卒入社半年で営業を辞めました
私は新卒で入社した会社をたったの半年でうつ病と診断されその後休職。
そしてさらに半年ほどの休職期間を経て休職満期ギリギリで退職しました。
この原因となったことに前年踏襲が直接関係しているわけではありませんが、前年踏襲と調べても、「お役所仕事はこれだから‥」や「PTAの前年踏襲をどうにかしてくれ」という批判的な記事ばかりが出てきます。
そんなに前年踏襲は良くないでしょうか。
公務員やPTAの仕事とは少し違いますが、私が前年踏襲について思うことを書いていきます。
提案するのが苦手なHSP営業
大前提として、人にお願いや頼み込みをして営業をすることがとても苦手でした。
上記でご紹介した、半年で〜にも書きましたが、提案やお願いをすることに心のストッパーがすごくかかってしまうのです。
そんな時に言われて安心、嬉しかったのが「前年踏襲でお願いします」という言葉でした。
私の仕事は1年単位に更新や新提案が必要な仕事だったため、契約を打ち切られるわけでもなく「新たな提案をもってこい」と半分脅されるようなこともなく、ただただ平和で終わるのが、この「昨年踏襲」だったのです。
「去年と同じ」で安心
なにも、私も前年と同じでOKといえど、思考停止をしているわけではありません。
工夫や効率化を図らなかったり、良くなかったことを何も改善せずに推し進めるということではありません。
「前年と同じで」とクライアントが言ってくれるのは、「前年のもが良かったから今年も同じ企画でお願いしたい」とポジティブに言ってもらえている気分になるほどでした。
契約を切られていないだけとっっっっっってもマシ。
私は前年踏襲と言われることに安心していました。
「去年と同じ」で怒られる
しかしながら、そのまま帰社して報告をしても、前年踏襲であることは良くないことでした。
個人的には、こんなに人がすぐ辞めてしまう会社なんだから、曲がりなりにも組織として進むべきなら、ある程度型を決めて挑んだ方がのちのちの仕事もしやすくなる。
これこそが効率化でありローコストで済む最高の方法だと思うのに。
少し極端で言い過ぎですが、前年踏襲=思考停止と言われることには納得がいきませんでした。
手探りで何かを始めることが苦手なHSP
今は、この前年踏襲の安心感は新しいことを手探りで始めることが苦手なHSPの気質が関係しているのだと強く思っています。
新しい企画を考えているときは「本当にこれで良いのか?」「この企画、成し遂げられるかな‥」「また考え直しになったらどうしよう」などと足を阻む心配がひっきりなしに出てきて、なかなか上司に確認が取れず、挙げ句の果てには誤字や脱字が気になり始め、とにかく時間ばかりが経過していくのでした。
努力でカバーは難しかった
じゃあどうすればいい?と考えた私は、とにかく「慣れ」ることが大切だと思い、なるべく恐怖心を無くす努力をしました。
しかし、1言うと10返事が返ってくる上司の元、これをくり返すことはとても怖かったです。
これぐらい新入社員は誰だってしている・怒られるのは当たり前、むしろ感謝・そもそも1年目は期待なんてされていない‥。
と頭の中ではわかってはいますが受け止める心や気持ちがなかなかついていきませんでした。
前年踏襲の安心感から脱却できる?
対策が間違っていたのか、やり方が間違っていたのか、こんな状況の中仕事を続けていた私は、新卒で入社した会社を半年も経たないうちにうつ病と診断され休職。
そのまま復職することなく退職しました。
対策が手探りで新しい物事を始めることが苦手なHSPは、基本的にはそれを「回避」して生きていくのが一番良いのだと思います。
今は、前年踏襲ばかり、と言うわけではありませんが、企業の広報として「ゆったり」と働くことができています。
スピード勝負の会社で新しいことをどんどん企画するという新卒で入社した会社が持っていたような性質は、私には合いませんでした。
停滞からもアイデアが生まれる
話が逸れてしまいましたが、前年踏襲からも新しいアイデアが生まれることもあります。
前年の結果が前年のベストだったわけで闇雲に何もかもやり方をどんどんどんどん変えていく、のはとてもおかしい話だと感じます。
私は効率云々の話より、私の気持ちに波が起こらないで済むので前年踏襲が好きでした。
そのため前年踏襲理論武装だといえばそれまで。
ですが、闇雲に前年踏襲を叩いて、よくないと一概にいうことも違うかな、思った話でした。
そして新しいことに手探りで挑戦することはHSPにはとにかく向いていない!と思うです。