HSPが営業として働いてたった半年で休職した話

HSPが営業として働いてたった半年で休職した話 早期離職


私は新卒で広告代理店で営業として入社しました。

憧れだった職場で意気揚々と入社しましたが、結果として半年でうつ病になり、その半年後、退職しました。

いわゆる早期離職です。

現在大学生の方は「納得内定」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

私がしていたのは、まさに大学生に色々な就職支援をする仕事でした。

納得内定で決めた会社だったので、同級生と比ても社会人になることに正直ワクワクしていました。

しかし現実は新卒入社たったの半年でうつ病と診断され、休職。

あんなに楽しみにしていた社会人生活を半年で休職に至った事実に耐えられず、毎日とても塞ぎ込んでいました。

悲しかったとはいえ仕方がありません。

この記事では、そんな私が感じたHSPと営業職の親和性についてお話しします。


私が新卒で入社した会社をたった半年でうつ病に至るまで

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HSPが営業として働けない理由

結論から言うと、営業とHSPは相性が最悪だと思います。

それは、HSPが「仕事」と「プライベート」の境界線を分けることが苦手だからです。

しかし、HSPだからこそ営業として褒められた点も今となってはあると思います。

周りに気を配れることや相手の困っていることを察する能力、相手の話を聞く傾聴能力などです。

何もかも「仕事だからしている」と割り切れればいいのにと考えましたが、どうしても「仕事だから」となかなか割り切れず、心労が先に来てしまいました。

営業職を目指して就活を行なっている・転職活動中・チャレンジしようか迷っている方や営業が向いていないという方、数多くいらっしゃるかと思いますが、あくまで一意見として見ていただければ幸いです。

HSPが営業をして困ったこと

HSPの私が営業として働く上で困ったことはもう数え切れないほどたくさんあります。

私はHSPの中でもHSS型に分類される方で、新しい出会いやワクワクした環境が比較的好きなタイプでした。

営業は 新しい人と関わる機会がとても多いです。

しかし、常に上司とクライアントの間に挟まれている状態であることも事実。

数字をとってこないと怒る上司、いらないと言うクライアント。

この間に立たされることが本当に辛かったです。

相手に迷惑と思われることが前提

営業や販売というのは「基本的に相手に迷惑と思われることが前提」であると思っています。

大学時代にアパレルでアルバイトをしていた際も、お客さんに話しかける行為が苦手でたまらず、かつ売り上げノルマへのプレッシャーから辞めてしまいました。

アパレルは自分がお客さんとして行く分、話しかけられることに対して抵抗があったため、必然的にお客さんの気持ちがわかってしまうのでした。

営業も似たような側面があり、こちらからアプローチをかけて行くタイプの営業は基本的にすぐ必要とされていないものです。

私は広告の営業をしていたので、「必要になったら声をかけるから」という断りがよくありました。

しかし、そこですかさず訴求アプローチをかけて行くのがまさに営業の腕の見せ所と言います。

そうは言うものの私は相手に迷惑と思われている。それだけで足がすくむほどの恐怖でした。

いらないものは商材なのに、私自身が否定されているような感覚に陥ってしまうのです。

お願いや交渉をするだけでも苦痛すぎるのに、お金を払ってもらってモノを売れというハードルの高さに耐えられませんでした。

雑談には問題ないが商談・クロージングに問題あり

HSPは基本的に場の空気を読み、気まずい雰囲気が苦手であるため、当たり障りのない会話得意です。

そのため、人当たりが良いという印象を持たれることも多いと思います。

ところが、これが営業に向いているとは限りません。

人に決断を迫る場面などは共感性周知が働き、とても決断を迫ることなどできませんでした。

終的に買う気があるのかを判断するいわゆるクロージングや、受注前提で話を進めて行くことがとても苦手だったのです。

受注前提で話を進めることに関しては、クライアントに「えっ?受注前提で話を進めてる‥?なんで‥」と困らせたくない。

仕事は仕事だと割り切る必要があるとは思いますが、自分の思いと仕事を切り離すことはできませんでした

気まずい思いをしたくがないために、ヘラヘラ笑って営業先からそそくさと退散!ということも多く、良い商談ができたと言えたことは辞めるまで一度もありませんでした。

間に挟まれることが苦痛

営業には基本的には目標という名のノルマがつきものです。

そして、会社員として働く上で上司は必ず存在するもの。

基本的に部下である私たちは上司の指示や方向性を仰ぎながら仕事を行っていきます。

やっとの思いでクライアント先から帰社し、クライアントの訪問記録を上司に伝える場面。

「どうしてそこでアプローチをかけなかった?」「クロージングではっきりさせる」「この商材も提案してみて〜」と上司は好き勝手、どんどんどんどん意見が降りかかってきます

部下にとってはクライアントより目の前の上司の方が影響力が大きく、大切な存在であることが多いですよね。

この上司への恐怖心とクライアントへの「言わなきゃ、伝えなきゃ、提案しなきゃ‥」が重なり、クライアント先での委縮した様子が相まり伝わってしまい、訪問するたび悪い方向へ行くのでした。

商談へ行く時も気が重いのに、満足できる商談をすることもできず、帰社後もとてつもなく足が重い。

こんな毎日の繰り返しで、あっという間にHSPは精神的に追い詰められていくのでした。

自信のない商品を根拠なく勧められない

基本的にどんな商材でもサービスを提供し、こちら側に利益があるように作られているものです。

価値を提供するという意味では、お金が発生するのは当然です。

しかし、「お金を払ってもらう以上」は売る側としての責任が発生すると思います。

世の中のありとあらゆる商材にはメリットとデメリットがあります。

そして、広告という商材は必ずしもお金を払ったからといって、効果が必ずあるものではありません。

その保証もなしに、ただ自社商品を進めまくる、ということが私にはどうしても難しかったのです。

もちろん出して効果が出ないものに返金するということもありません。広告を出した時点でお金が発生しているのですから。

HSPが営業として働くメリット

今まで困ったことや苦手だったことを述べてきましたが、HSPが営業職として働くメリットも存在すると思っています。

HSPに限らず、もともと持ち合わせている素質を知ることで、うまく行くとすごく良い営業マンになれる場合があるといえないこともないと思います。

相手のニーズを的確に捉えることができる

HSPが持つ相手の顔色を深く伺ってしまうことに通じますが、商材などが幅広かったり需要のあるものを販売している場合。

相手と話しながら今この人には何が必要かということを考えられるので、バラエティに富んだ商材を販売している人は、きっと相手に合うものを見つけられると思います。

その点以外にも物腰の柔らかさや相手の気持ちに寄り添うことが得意なので、自分が「本当に人のためになる」と思える商材を扱えれば、PRの天才になれると感じています。

丁寧な対応やメールができる

怒涛の営業パーソンとしての日々でしたが、唯一褒められたこともありました。

それは何もかも(無駄に)丁寧ということです。

丁寧すぎて仕事が遅いと遠回しに指摘されていたのかもしれませんが、丁寧さを褒められることは多くありました。

メールではどのように伝えるのがベストだろう?と深く考え、ぶっきらぼうな文章を送ることはありませんでした。

ただ、HSPあるあるかもしれませんがメール1つが本当に長くなる。

的確にまとめることは今でもずっと苦手です。背景まで話したくなっちゃう!

その分時間がかかってしまいますが、丁寧なメール対応や物腰の柔らかさという点がうまく生かせれば、物腰柔らかな優しさ溢れる営業になれると思いました。

しかし、営業を続けられなかった私

しかしながら結果として、できない自分に対して自責が募りうつ病を発症してしまいました。

すなわち、営業として長く働くことはできませんでした。

ノルマを達成できなければ「詰め」られるという恐怖もある企業だったのもありますが、やはり一番の大きな理由は「会社のスピード感についていけなかった」のが原因だと思っています。

やはり営業としては考える時間が長いことより、スピード感や行動力が一番求められるのが現実です。

よく考えてしまうクセを持った私は、「仕事は仕事」ときっぱり割り切ることができず、考えることを辞めることはできませんでした。

その結果、何もかもに時間がかかり、迷い、飲み込みが遅いと思われるなど良くないことがたくさん起こっていったのでした。

周りのことを考えすぎてうつ病に

責任感だけは強いのにプレッシャーには弱いタイプで、クライアントからのお願いには絶対に答えなければならない。

そして、上司からの依頼にもNOとはいえない。

大丈夫?と聞かれても、挨拶を返すかのように「大丈夫です!」と繰り返していました。

その結果、やらなきゃいけないのにどこから・何から手をつけていいのか分からない、あれもこれも聞きたいけどどのタイミングで誰に聞けばいいのかわからない。

上司を見ていてもとても忙しそうだし、そもそもこれぐらいで聞くなんておかしいかな?

ほかのみんなはどうやっているのかわからない‥せめて教科書があればできるのに‥という結果に。

そのような状態にも関わらず、深刻な顔は会社では一切出すことができませんでした。

深刻な顔をしていないわけですから、「この人は困っていない」とジャッジされても仕方ありません。

どんどん体重が減少し、生理がとまり、とうとう会社に行く前に涙が止まらなくなりました。

訪れた精神科で「うつ病」との診断。そのまま会社を休むことになりました。

責任感が強すぎてノルマに耐えられない

営業に限らず、会社員は基本的に目標達成は数字で見られます。

誰もが背負う数字。

誰もが背負っていると理解はしていてもどうしてもそのプレッシャーに耐えることができませんでした。

数字数字数字数字数字数字。

課全員のノルマ達成進捗率を調べるのは一番部下である私の仕事でした。

先輩は日々数字を伸ばしているのに、私は‥。

今思えば新入社員だからできていないのは当然だったと思いますが、周りはできているのに自分だけができていない状況というのがとてつもなく辛かったです。

詰められる・怒られる声に心労

小さい頃から、人が責められる声や怒られる声がとても苦手でした。

電話先の相手が困っていそうな質問を投げかけている人を見るのも同様です。

自分とは関係がないと思いつつも聞いていると動悸がし、時には自分のデスクに座ってられないときもありました。

テナントビルだったため、他の階の休憩室へ行ったり、トイレで気分を落ち着かせたりしていましたが、こうしている間も「あいつ何やってるんだろうって思われてるんだろうな‥」と思う気持ちが止まりません。

そんなことを繰り返しているうちに、この環境にいつまでも慣れない自分に腹が立っていくのでした。

みんなどんな音・声が聞こえてこようと、何食わぬ顔でデスクで仕事をしているのに。

時間的な余裕に加え、精神的な余裕もなくなっていきました。

2社目は営業を避け転職

そんな会社を半年でうつ病と診断された私は、休職を経て退職。

現在は営業を脱し、企業の広報として働いています。

やはり人と話すのは好きだし、デスクにずっと座っているのも私らしくないと思っています。

結果的には周りのペースに引っ張られすぎる仕事より、自分のペースで仕事をできることが私にとって一番大切だと分かりました。

商品を売るにしても、「自分の根拠を持っておすすめできるものをきちんと欲しい人に渡る世の中であってほしい」とは、今でも思います。

おかげで、商品をやたら進めてく営業パーソンには、めっぽう弱くなってしまいました。

私の営業経験は半年ほどでしたが、今思い出すだけでも本当に本当に毎日が辛かったです。

HSPは自分の心地よさを重視した職種・職場環境にすることをまずは考えるべきだと思うのです。

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