私は大学時代の憧れから広告代理店へ入社しました。
新しい環境に入ることにワクワクし、人見知りをしなかった私は、営業としてガンガンいける仕事!をイメージして広告代理店へ。
しかし結果的に新卒入社半年でうつ病を発症、その後休職し、退職することになりました。
広告代理店の日々はできないことに対して、どうしてできないんだろうと自分を責め続ける毎日でした。
休職に入って自分がHSPにとっても当てはまると気づきました。
ADHDなど障害を疑っていたけれどなんだかピンとこない。そんな私は衝撃を受けました。
HSPの私は自分に合う「環境」を理解していなかったのです。
私の就職活動
冒頭でもお伝えした通り、私は全く人見知りもありませんし、新しい環境やワクワクすることが大好きでした。
人と会うのも話すこともまったく苦痛でなかった私が内定をもらった職種は営業職ばかり。
もちろん、私は営業が自分にとって適職だと信じていました。
自分の好きなオフィスカジュアルを着て、休日返上でバリバリ働く、そんな同期に囲まれていれば自分も自然と頑張れるだろうとイメージをしていてとても楽しみだったのです。
しかし半年後には、買い揃えたオフィスカジュアルを選ぶ余裕もなく、すりきれたパンプスに毛玉だらけのスーツを着用し、泣きながら仕事へ向かっていました。
やりたいことを優先して半年で休職、退職へ
新卒で入社した会社に限界を感じ、初めて転職サイトに登録したのは入社して2ヶ月後の6月でした。
そこから半年もしないうちに、やっとの思いで精神科を受診し「うつ病」である診断されました。
うつ病になった原因は、「できない自分をめてばかりだったから」だと今になっては思います。
休職してから、やっと余裕が出てきた段階でHSPという言葉を知りました。
私が新卒から休職に至るまでしていて辛かったこと・苦手だったことを書いていきます。
人のためになっていないと感じることや素直に人が喜んでくれないことをするのがとても苦痛でした。
それさえも仕事と割り切ってしまえば良いと思ったのですが、HSPの私にはどうしても仕事だと割り切ることができず、苦痛で苦痛で仕方がありませんでした。
とにかく架電ノルマの毎日
基本はテレアポ(電話営業)でした。
営業という仕事は、ルート営業でもない限りほとんどはテレアポからスタートをすると思います。
テレアポをしたことがある人はわかると思いますが、基本的に断られます。
「今はいりません」「必要になったらこちらから連絡をします」これらはまだ優しい方。
時には「もう電話をかけてくるなって言ったでしょ!」「もう電話してくるな!!!!」など怒号で返されることもありました。
もちろん、こちらも仕事だとわかっていて多少は慣れることもありましたが、何より一番苦痛だったのは、おそらく電話先の人もなかなか断れないタイプのとき。
こちらから「いりませんよね!」と電話を切るわけにはいかないので、なんとか訪問に持っていけるように努力をしなければなりません。
しかし、必要ないと思われているのに無理やり売り込んでいく、という会社の営業スタイルがどうしても苦痛だったのです。
とにかく訪問でストレス過多
いわゆるアポなし訪問もありました。
事前の連絡をなしに突撃するという営業手法です。
営業マンを快く、優しく受け入れてくれるような優しい企業はどこにもいません。
絶対担当者がオフィスにいるのに、受付で断られる。受付ブロックと言われました。
日常茶飯事ですし、今の会社では断る側に回ることもあります。
そこでしつこく訪問を繰り返すことで、お客様を振り向かせられた、という営業成功秘話もたくさん聞いたことがあります。
ですが、私はその迷惑そうな・嫌な顔をされることに耐えられなかったのです。
本当は迷惑だと思われている・歓迎されていない、これが前提でいかなければならないことがとにかく苦痛でした。
怒号が響く地獄のオフィス環境
営業だったので、会社には目標という名のノルマがありました。
このノルマを達成できない社員はとにかく怒られていました。
真正面から怒鳴る社員もいれば、「今月どうなってんの?」と静かに詰めてくる社員もいます。
そういった声が周りから聞こえてくるたびに私は共感性羞恥がはたらき、辛い気持ちになっていました。
HSPであるないに関わらず、この環境はとても居辛いと思いますが私は席に座っていられないほどでした。
よくデスクから離れてしまう、周りはこの状況をどう思ってるんだろう?とまた自分を責めていました。
それでも仕事が手につかなくなるほどなら、席を離れた方がマシです。
自分を守る手段と言い聞かせ、いつ自分にそれが回ってくるだろうと恐怖に怯える毎日でした。
うつ病と診断される
断られることが前提の訪問や、定時をすぎてから事務作業が始まる暗黙の了解。
大声で詰めてくる上司がいるオフィスの環境や、穏やかな気持ちでいられない毎日が続き、とうとううつ病と診断されました。
この時は本当に死んだ方がマシとまで思っていて、今となっては本当にあのような会社のために死ななくてよかったなと思ってばかりです。
とはいえ、上記で今まで話したことは営業の基本であり「当たり前」と呼ばれることが多いのも現実です。
そんなに迷惑そうな顔をされたこともなければ、そんなに上司に怒られることが怖いことだと思っていなかった私は、本当に恐怖で仕方ありませんでした。
私は今まで自分が苦手なことに、気がついていなかったのです。
HSPが環境から与えられるストレスは甚大
HSPが環境から与えられるストレスは甚大です。
「環境に左右されやすい」と言いますが、環境はもちろん他人に感情にも左右されてしまいます。
この左右のされやすさは自分のストレス耐性が低いからと片付けていましたが、慣れるものではありませんでした。
人の感情はわからないから気にしても仕方がない、という記事もよく見ました。
しかし、気にしても仕方がないと思えば思うほど、どうしてこんなに気にしてしまうんだろう?と逆に自分を責めてしまいます。
だとしたら、その性質とうまく付き合っていくしか方法はありません。
周りの騒音や怒鳴り声
私が苦手だったのは、怒鳴り声・ドアが開く音やエアコンの稼働音・だんだん近づいてくるヒールの足音でした。
どれも必要以上にびっくりしてしまうのです。
大学生のときは、周りの騒音が気になってもイヤホンをしたり、友達と話して気持ちを落ち着かせることができたので、さほど気になったことはありませんでした。
しかし、自分のやらなければならないことがたんまりとある仕事中は気分転換の逃げ場がありませんでした。
共感力が高い故の仕事の遅さ
テレアポで何度も断られたとしても、はい次!とすぐに気持ちを切り替えられれば、すぐに次の企業に電話をかけることができます。
しかし、怒鳴られたり、もういい加減にして。と強く言われてしまうとどうしてもそれを引きずってしまいました。
自席でテレアポを行う場合は大抵の場合まわりに先輩がいます。
そのような状況で、電話の内容も聞かれて、さらにはもっとこうすれば?などと言われる日々。
とても苦手でした。「大変申し訳ございません」と言い過ぎだよ、と言われてもつい口から出てきてしまいます。
いくら電話だろうと強気に出ることができませんでした。
そうしている間に先輩もイライラしてくるだろうな‥と考え、どんどん悪循環になっていくのでした。
HSP就活生は苦手なことから分類
これらのことを踏まえ、私はHSPの性質を持っている就活生に伝えたいことがあります。
それは、自分のやりたいことより自分の苦手なことを避ける就活をして欲しいということです。
自分のやりたいことを叶えるのはとても大切なことだと思いますが、それで自分で自分の首を絞めてしまっては私のようになってしまいます。
「あれをやってみたい!」「これに憧れている」そんな気持ちはもちろん大切ですが、
自分はどんな環境が苦手?何をすることが苦痛?をよく考えて欲しいのです。
やりたいことは現実的に考えてできるのか
私は、新しい人に会うことに苦痛を感じず、それなりに誰とでも雑談ができることが強みで営業職に向いていると思っていました。
自分の努力で数字をあげられたらやっぱり楽しいし、テストの点数を上げるために勉強をすることは苦痛ではありませんでした。
でもそれは、全て自己完結できるからであると知りました。
営業では、誰とでも話せても「相手にモノを買わせる」のが仕事です。
ただのお話が好きでは成り立たないのが現実でした。
自分のノルマを達成するには、「買ってくれる誰か」の存在が必要です。
これらを達成するためには、自分が相手にお願いをしたり・決断をさせたりすることが必要になるのです。
私はその部分がとても苦手だったので、結果的に営業という仕事が向いていませんでした。
自分がストレスに感じることは何?
オフィスの環境は事前に知ることができないのである程度運であると言えます。
しかし、自分がストレスに感じることは何か?と考えるとおのずと答えが見えてくるのではないでしょうか。
私の場合は、「人にお願いをする」「自分の仕事を見られている」「与えられた根拠のない数字を求められる」「自信の持てない商材を売り込む」ことがとてもストレスでした。
いくら商品を買ってくれるお客さんとは言え、自分の自信のない商品を売るのはとてもストレスでした。
それで数字が上がったとしても、素直に喜べない自分がいました。
人のためになっていると思えないことをするのが私にとってとてもストレスでした。
いられる環境の上に、やりたいことがある
現在はメーカーの広報で働いています。
広告代理店のように、毎日のテレアポ・訪問はありません。
広告代理店では90%が営業職だったので、比例してストレスをためている人も多く、それゆえ音を立てながら仕事をしたり、怒号が響き渡ることも多かったのかもしれません。
毎日忙しなく働くことがかっこいいと思っていて、休日返上で働くことがかっこいいことだと思っていましたが、自分にはできませんでした。
きちんと定時に帰りたいし、仕事から帰ったあとはゆっくりにお風呂に入ってのんびりしたい。
こちらの方が私が精神安定する上でとてもぴったりでした。
現在は声を荒らげて怒る人はいないですし、扉をバンバン閉める人もいません。
周りにはえ?そんなことで?と思われているかもしれませんが、本当に些細なことが私にとってとても重要なのです。
HSP性質がある就活生・転職志望の方に伝えたいこと
私はやりたかったことを挫折し、自分がのびのびと仕事しやすい環境は?ということを考え、転職活動を行いました。
努力でどうにかなるという考えもとても素敵ですが、周りはできているのに、自分だけできていない・どうしても苦手でストレスがたまる環境に居続けていると思いながら仕事することほど辛いものはありませんでした。
HSPであることは不利だと思ったことはありません。
治療薬もあるわけではなく、繊細さん(笑)と揶揄されているのもたくさん見たことがあります。
だからこそ、この部分だけは周りに左右されずに、シンプルに私はこういう環境が苦手だから、というさらっとしている理由でも問題ないと思うのです。